ドイツ語の「階」の考え方 ~ Stockwerk と Geschoss をめぐって ~

未分類
12 /12 2016

注: この記事は突貫工事で作ったのでたぶん後ほど色々修正を加えます。

この記事は 外国語学習 Advent Calendar 11.12.2016 用の記事です。
あれ?投稿時刻が12.12だって?聞こえないなぁ…

みなさんプリヴェート,卵生Морожеです。(⋈◍>◡<◍)。✧♡
とある方からお誘いを受けてAdvent Kalenderに参加することになりました。ちなみにこの件で初めてアドベントカレンダーという単語を知りました。advent 自体は With the advent of ... というフレーズが有名なのでそれで知ってましたが(この advent は onsetと同じような意味です)。

ちょっとだけ自己紹介をします。
僕は普通のボム兵です(00 )-3。普段は人間の姿として活動しています。
興味から英語とドイツ語とロシア語を学習しています。Морожеという名前はロシア語に由来してます。
普段はよく音ゲーをやってます。カノープスとパラボーとつまぶきとMZDが好きです。つまみを外すプロなのでオピウム赤の青直角を外してPを逃したことがあります。
Twitterアカウントは @Morojenium です。わりと高頻度でつぶやいてます。フォロー大歓迎です。


さて,今日はドイツ語の「階」の話をしようと思います。みなさんは次のような話を聞いたことがありますか。

「アメリカ英語の the second floor はイギリス英語の the first floor で,アメリカ英語の the first floor はイギリス英語の the ground floor」

この話自体はご存じの方も多いと思いますが,冷静に考えてみると「なんで?」と思いませんか?僕も気になって調べたのですが,正直はっきりした証拠がつかめません。…ただ,推測はできます。

まず,このイギリス英語の表現自体は,イギリス発祥ではないようです。(事実,他のヨーロッパの多くの言語ではイギリス英語のような階の数え方をします。)

また,Wikipedia の Storey の項によると,
"In Italy, in the ancient palaces the first floor is called piano nobile ('noble floor'), since the noble owners of the palace lived there."「イタリアでは,古代の宮殿では1階は piano nobile 「高貴な階」 と呼ばれていた。高貴な宮殿の所有者がそこに住んでいたからだ。」

とあります。1階は特別な人が住む階なので,それを特別視し基準として,上に階を積み重ねるイメージができたということでしょう。これは,1階を「デフォルトの状態」,すなわち0階として捉えることと同じです。
これなら納得が行きます。王室が身近でない現代の人にとっても,1階は外界との出入りがあるために他の階とは性質が異なる(例えばホテルのロビーって大抵1階にありますよね)ので,特別視されるというのは感覚的に理解できるでしょう。


さてさて。ここからが本題です。先程言いましたように,他のヨーロッパの多くの言語ではイギリス英語と同じシステムで階を数えます。ドイツ語も例外ではありません。
1階は das Erdgeschoss, 2階は der erste Stock, 3階は der zweite Stock といいます。das, derは定冠詞,erst は first,zweit は second を表します。Stock(r) は階,Erdgeschoss(s) は Erde で地面(earthの親戚),Geschoss は…あれ?

…Stock じゃないの…?この単語は一体何だ?

調べてみるとさらに謎は深まります。まず,Stock は Stockwerk(n) の省略です。この単語でWiktionaryを調べると,
„Das Haus hat vier Stockwerke.(The house has four Stockwerke)“
という用例が出てきます。4階建てということです。…あれ?? Erdgeschoss の上に積み重なるものを Stockwerk というはずなのに,Erdgeschoss を Stockwerk に含めている?

しかも,「4階建て」という形容詞は 4-geschossig です。Stockwerk を Geschoss で数えています。ということは Geschoss も Stockwerk も同じ?なんだそれ?


ややこしさの原因は伝統的な木造建築の形式にあります。Geschoss と Stockwerk は指すものがもともと違うのです。
そもそも,ヨーロッパの建築といえば組積造,つまり石の家を思い浮かべる人が多いですが,ドイツでは木骨造が長い間採用されていました。

ドイツの木骨造の家(Google 画像検索)

木骨造のことを Fachwerkhaus といいますが,さらにその中に Ständerbauweise と Rähmbauweise と建築方法が2つあります。写真を見てください。

2つの構造の違い

Ständerbauweise は Schwelle(地面) から Dach (屋根) まで一つの繋がった Ständer(柱) を建ててこれに支えと壁の2つの役割をもたせます。
Ständer に Balken(梁) を貫かせることによって一つの Geschoss(階) を作ります。

Rähmbauweise は 15世紀頃に Ständerbauweise から派生したもので,階1つ分の高さの Ständer によってケースのような Stockwerk をつくり,これを積み重ねることで建築を行います。下の階よりも面積を増やして突き出すような形にすることもあります(Vorsprung)。
Rähmbauweise の Rähm はおそらく Rahmen(額縁) の親戚でしょう(「ラーメン構造」ってありますよね)。ところで僕が好きなラーメンは醤油ラーメンです。

Vorsprung の一例

さてさて,時を経てドイツではこうした木造建築は姿を消しましたが,Geschoss は建築業界で建築方法に関係なく階を表す単語として残り,Stockwerk は日常語で定着しました。だから現代のドイツ語では「階」に相当する単語が2つあるわけです。(現代では Stockwerk の代わりにフランス語 étage 由来の Etage を用いることも多いです)
ちなみに,専門用語では Erdgeschoss に積み重なる階のことを Obergeschoss と呼びます。屋根と床で構成される階を Dachgeschoss,地下の階を Kellergeschoss(一般に,Untergeschoss) と呼びます。
Erdgeschoss の代わりにフランス語 parterre からの借用語 Parterre(n) を用いることもあります。

呼び分け方

いかがだったでしょうか。
もともとドイツ語に「階」を表す単語が2通りあるのは知っていましたが,今回Adventskalenderの記事を書くためにその理由を調べて,ドイツの建築様式の歴史を知ることになり結構面白かったです。

この記事は建築関連の知識を全く持たないかつドイツ語の読解に不慣れな人が書いているので,もしかすると色々間違っている点があるかもしれません。この記事についての質問,反論,批判,個人攻撃,食事のお誘い,余ってる油田のプレゼント, u.s.w. があればTwitterアカウント(@Morojenium)にぜひリプライください。
それでは,またの機会まで。卵生Морожеでした。Tschuess! (00 )-3


参考文献:
ドイツの建築
ドイツ語版Wikipedia Geschoss(Architekur)

Kommentare

Privates Kommentar

Bob-omb

普通のボム兵